2011年2月号
ゴミ収集労組がスト! 原因は市の不正入札疑惑

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全国初 非道な市政に抗議

ゴミ収集の委託業者でつくる自治労傘下の柏原清掃労組は、市の突然の入札実施で多くの失業者が出ると抗議。不透明な入札に関して市の説明を申し入れてきたが市が無視し続けたため、1月6日、24時間のストを実施した。

ストにより柏原市内の約7割の世帯の収集に遅れが出た。市は昨年、ゴミ収集委託業務を突然指名入札に変更。50年にわたって市の委託を受け問題なく収集をおこなってきた業者を切り捨て、岡本泰明市長に近い同族業者2社を含む3社が新規参入。しかも1社は、過去に大きな問題を起こした不良業者だった。
現行委託収集業者4社のうち2社の一部の従業員でつくる自治労傘下の柏原委託清掃労組は、この不透明な入札に抗議し市長との協議を申し入れてきたが、市側が無視したため、やむなくストを実施したという。

「入札は不適切」が地方自治法の趣旨

地方自治法では、一般廃棄物処理は自治体が直営すべき事業と定める。たとえ民間に委託する場合でも、市民生活に直結するため入札には適さず随意契約が望ましい業務とされる。競争入札で参入した業者が問題を起こすケースがあるからだ。実際、今回の入札で新規参入した大紀は鎌倉市で問題を起こしている。
これまで委託業者は、厳しい市の行政指導を受け入れてきた。民間業者ではあるが自由な業務ができない準公務員の立場だ。事実、近隣の羽曳野市や八尾市ではこの認識のもと、随意契約が現在も維持されている。

不良業者が新規に参入

利権に目が向いて市民の利益を全く考えていないのは、市長だけではなく、市議会議員たちも同様だ。I議員やY・A議員は、今回のストをあたかも委託業者だけに責任があるかのような事実をねじ曲げた非常識な発言をしている。
岡本市長に近いY・A議員の親や親族が経営する業者(大紀、近畿クリーン)が半数近い地域を落札をした汚職体質は大きな問題だ。しかし、それ以上に問題なのは、その業者が、過去に大きな問題を起こした不良業者だということだ。

不良業者に不安

大紀は鎌倉市で資源ゴミ収集業務を落札。しかし当初より市民の評判が悪くついには回収を放棄、市内にゴミが放置されるという前代未聞の問題を起こした。鎌倉市からは、契約解除され損害賠償を請求されている。 このような不良業者が、指名されて新規参入したのだ。柏原で同様の問題を起こせば、結局、困るのは市民だ。大紀が業務を始めるのは今年の4月。市民生活に混乱を来す事件を起こさないか大きな不安がよぎる。

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委託業者だけを悪者に

市の不正な入札に抗議するため、委託清掃労組がおこなったストに関して、1月12日に全議員協議会が開かれた。その場で、I議員やY・A議員らが問題発言、無知や見識の無さが露呈した。

今回のストは、現行委託業者2社の一部の従業員がつくる柏原委託清掃労組(自治労傘下)が実施した。
市が実施した不透明な入札に対する抗議申し入れが無視されたため、法にもとづいた手続きを経て実施されたもの。

事実誤認し業者を攻撃するI議員

ところが、I議員は浜浦クリーン1社が不当におこなったとストだと事実誤認。今後またいつストをするかわからないなどと、同社の業務を取りあげるべきとも取れる発言をした。しかし、前述の通り実際は2社の従業員でつくる労組が実施したのであり、朝日新聞など一般紙にも明記されている。
I議員は、ただの無知か、それとも故意のウソか、いずれにせよ労働者の権利を否定する非常識な発言だ。また、Y・A議員もそれに同調し「業務を怠った浜浦クリーンには厳重な行政処分をすべき」などと発言。
Y・A議員は、岡本泰明市長にべったりの若手女性議員で、父親も岡本市長の後援会有力者。

スト原因つくった張本人、Y・A議員

数年にわたって「ゴミ収集を委託から入札にするべき」と主張し続け、昨年それを実現。その結果、Y・Aの親や親族が経営する同族業者が入札対象地域の半数近くも落札したのだ。今回のストは、この不正入札疑惑に対する抗議であるため、いわばY・A議員はストの原因をつくった張本人とも言えるわけだ。

「よっぽどのこと」市民の声

Y・A議員と親族業者、そして岡本市長との関係に象徴されるように、権力者にすり寄る議員や業者が甘い汁を吸ってきたのが柏原市の汚職体質だ。柏原市民でもある組合員のストは、このことへの市民としての抗議という側面もある。そのため、今回のストに理解を示し委託業者を激励する市民も少なくなかった。
市民に愛されて適正に業務をおこなってきた委託業者から、突然職を奪う非道は許されることではない。

コラム

委託清掃労組が、ゴミ収集のストをおこなった1月6日は、雪が舞うほどの寒い日でした。
約50年前、その頃は市が直営で収集していたのが手が回らなくなり、当時の浜浦清掃がお手伝いするようになったのが民間委託の始まりだと聞いています。
以来、厳しい市の指導を受けながらも黙々とやってきたんです。先代社長であった夫も私も、ストなんていう発想すらありませんでした。今回のストは、私もとても残念な思いです。
ストの場合は市の職員さんが代わって収集することになっています。こんな寒い日に慣れない作業、気の毒だなと思っていました。案の定、夕方までかかって大変だったようです。
翌日、こんな電話をもらったんです。ゴミ回収にかり出された市の職員さんからでした。「自分でやってみて、ゴミ回収の従業員さんたちの大変さが、よくわかりました。寒い日も、暑い日も時間通りにきちんと回収されてること、もっと感謝せなあかんと思いました」。
電話を切った後も、じーんとした温かさが残るその言葉に私こそ感謝でした。